教室で生産されている真妻わさび

 日高町の旧比井小学校で、大洋化学株式会社(御坊市)が屋内型水耕栽培システムで真妻わさびの生産を行っている。地方創生の取り組みとして、昨年3月末で閉校となった施設を借りており、秋からは現在の2000株を5000株に増やす計画。同社と共同申請している社会医療法人黎明会(同)も、「比井崎地区まちづくりプロジェクト」を進めており、一層の有効利用が進みそうだ。

 同校は昨年3月末で閉校。町は学校施設の有効利用へ、廃校利活用ニーズ調査の後、貸与期間5年間(双方合意で更新)で建物、敷地、グラウンドの公募型プロポーザル(企画提案)を実施。建物と敷地の利用で同社と同法人が参入した。

 同社は高齢者や農業初心者にも取り組みやすい農業を実現するため、屋内型水耕栽培システムを開発。旧真妻村、印南町川又地区がルーツの真妻わさびの安定生産、効率化、地域創生へ向けて、廃校となった比井小の施設を人工光型植物工場「Lino farm」として利用、地元雇用も進めている。

 LED照明の水耕栽培棚を使い、エアコンで温度を管理。比井小での生産は今年4月から2つの教室でスタートし、収穫した葉を使った加工品、ジェノベーゼソースの販売につなげている。今後10月ごろに教室を3つ、栽培量を増やし、最終的には全8教室で約1万株の生産を予定。将来的には栽培期間の短縮、遠隔の栽培監視、制御の実証試験場としての使用や見学客の誘致、学生の学びの場としても活用したいという。

 黎明会は高齢者のコミュニティーの場の提供を目的に、住民の利便性向上へ食料品や日用品、特産品も販売するカフェを開設。ヨガや体力づくり目的の介護予防教室を開き、健康寿命延伸の取り組みを進めるプロジェクト計画を立てている。

 両事業者とも地元雇用や地域振興の取り組み、地域貢献のボランティアも行う意向で、町は「地域活性化への取り組みとして期待できる」としている。