2020年1月、国内で新型コロナの感染者が確認されて以来、2年以上が経過した。この間で、国民の生活スタイルが大きく変化。職場では人との接触を少なくするため、リモートワークが普及したほか、パソコンを使ったテレビ会議システムも頻繁に行われ始めた。大学などでは生徒が登校せずに自宅のパソコンで授業を受ける形式も進んだ。休日の過ごし方も変化し、感染リスクの少ないサイクリングやキャンプなどのアウトドアがブームとなった。

 そんな中でもマスクの着用は大きな変化で、人と接するような場所ではマスクの着用が日常化された。コロナ前はマナー上の理由から「マスクを着用して接客するのは失礼」という考えもあったが、今は逆にマスクを着けずに会話することの方が無神経な振る舞いとしてみられがちだ。ただ、顔の半分が覆われてしまうのがネック。職場でもマスクを外した人の顔をみると、「この人、こんな顔だったっけ?」と思うことも。

 コロナ前も病気でもないのにマスクを着用する、いわゆる伊達マスクが流行っていた。「マスクを着けていると温かいと感じる」「スッピンでも気にしなくていい」などの理由で、本来の用途とかけ離れた使用だった。今もこれと同じような感覚の人も多いようで、「コロナ対策でマスクの着用が習慣化され、外すことに対して抵抗を感じる」などという声もよく聞く。

 コロナが終息し、着用する理由がなくなっても伊達マスクの愛好家が一層増えるかもしれない。しかし、マスクは言葉がこもりがちで、表情も分かりづらい。何より笑顔が隠されてしまう世の中は寂しい。  (雄)