先月16日、成田空港に到着した実習生と扇田さん(中央)

 新型コロナウイルスの水際対策が3月から緩和され、日本で就労技術を学ぶ外国人技能実習生の受け入れが再開された。日高地方でも先月16日、中国から4人の技能実習生が来日し、23日から研修を受けている。

 受け入れを再開したのは、御坊市塩屋町の「人と人協同組合」で、実習生らはコロナによる入国制限で予定より約1年半遅れて来日した。

 制限が長引くなか、ようやくの再開に胸をなでおろしたものの、受け入れ手続きもコロナ前より大変になったという。入国のための飛行機の手配は組合が担っているが、事務局の扇田平平さんは「コロナで飛行機の便が少なくなっていて、関空行きのチケットを取るのも困難でした。それにチケット代も以前より10万円ほど高くなっています。実習生らは3回飛行機を乗り継いでやっと御坊に来て、体力的にも大変だったと思います」と話す。

 16日に入った実習生らは中国遼寧省の省都瀋陽から韓国仁川で乗り継ぎ、成田空港に到着して間もなく関西空港へ移動、そこから大阪市内のホテルで1週間の隔離期間を過ごした。中国では各地でコロナ感染の再拡大が続いており、当初は5人入国する予定だったが、うち1人はロックダウンの影響で入国が遅れている。

 やっとの思いで来日した実習生らは、日本語や日本の法律などを1カ月かけて学んだあと、印南町のミニトマト農園や田辺市の梅農園で3年間就労する。梅農園に就労する呉長英さん(44)は、「入国待ちの期間は日本語の勉強や生活維持のためアルバイトなどをして過ごしていました。やっと日本に来ることができて嬉しいです。梅は初めてですが、仕事を一生懸命頑張りたい」と前を向く。

 28日にはベトナムからも7人の実習生が来日。彼らは約2年入国を待ち続けた。受け入れは次第に進んでいるが、今後の入国手続きがいかにスムーズに進められるか、課題も残る。