母国の国旗が飾られた自宅で、ウクライナの家族とメールで連絡するキツィラさん

 ロシアの侵攻を受けているウクライナから由良町に移住したロクソリャーナ・キツィラさん(27)は、母国に住む家族4人に思いを募らせる日が続いている。停戦の兆しが見えず、日増しに民間人の犠牲者が増えている中、「一番の願いは母国に平和が訪れること。戦争が終われば一度ウクライナに帰り、家族を抱き締めたい」と遠く離れた祖国に思いを寄せている。

 キツィラさんは中学生の頃から日本の伝統や文化に興味を持ち、現地で日本語を学んだ。旅行で訪れた日本人の男性と知り合い、昨年3月に結婚。8月から同町で生活している。

 ウクライナにある実家は西部の都市のリビウ。両親と兄、足の不自由な叔母の4人が暮らす。首都キーウや東部のまちなどに比べて戦争の被害は少ないが、自宅から10㌔ほど離れた場所にミサイルが撃ち込まれたこともあったという。家の地下の倉庫は防空壕の代わりとなり、空襲警報が発令されると、家族らはそこに逃げ込んで身を潜める。キツィラさんのスマートフォンにも空襲警報の通知が届き、そのたびに安否が心配になるという。家族とはメールや電話で連絡を取り合っているが、「メールを送信しても返事が遅い時は不安な気持ちになる」と話す。

 由良町では、コンビニのスタッフとして働いている。店にはウクライナ支援の募金箱が設置された。「日本の皆さんがウクライナのために募金してくれることがとてもうれしい」といい、「職場の従業員やウクライナ出身と知ったお客さんからもやさしい言葉をかけてくれて気遣ってくれます」という。

 今のところは、家族や友人に被害は及んでいないが、「戦争が一刻も早く終わってほしい」と母国の平和を願う。