ニンニクの収穫作業をする濵野さん

 全国で最も出荷が早く、品質も高いといわれるJA紀州の生ニンニクが出荷時期を迎え、同JAニンニク部会副会長を務める濵野一宏さん(48)=由良町吹井=の畑でも収穫作業が行われている。

 由良のニンニク栽培は約50年前から本格的に始まり、当時主力産品だった夏ミカンと繁忙期が異なる農作物として盛んで、ピーク時は栽培面積20㌶で年間出荷量200㌧を誇っていたという。その後、安い中国産に押され、柑橘栽培も温州ミカンやハッサクなどに移行し、繁忙期がニンニクと重なることから生産量は減少を続けていた。しかし近年、安心安全な国産ニンニクが見直され、黒ニンニクブームもあり単価が上昇。JA紀州では振興作物として産地の復活を図っており、若手農家の育成や作業の省力化研究に取り組んでいる。一時は2・5㌶まで落ち込んだ栽培面積を生産者の高齢化など課題を抱えながらも3・6㌶まで増やし、40人を切っていた会員も58人に増加している。

 濵野さんは、本格的にニンニク栽培を始めて12年目。40㌃の田んぼで米作りの裏作として、9月下旬から10月にかけて植えつけ、伸びた花芽が下を向くと切り取り、10~14日後に収穫しているという。今年は「冷えや乾燥で小玉傾向ですが、品質のいいニンニクができています。ぜひ食べてみてください」。収穫は5月初旬まで続く。

 JA紀州のニンニクは、全国で一番出荷時期が早い生ニンニク。「みずみずしく豊かな風味で高品質」と市場での評価が高く、今シーズンも出足は1㌔1400円(2L)の値が付き好調で、関東方面を中心に30㌧の出荷を目指している。