美しい桜の下で蕨野さん

 印南町明神川で、地元の蕨野友正さん(80)が18年間にわたり桜の植樹や石垣積みなどをコツコツ続けており、いまでは知る人ぞ知る花見スポットとなっている。ソメイヨシノは約60本あり、28日時点でほぼ満開で、今週末が見頃となりそう。机や椅子の休憩スペース、遊歩道もあり、「気軽に見に来て」と自由な散策を呼びかけている。

 JR西日本(旧国鉄)で運転士などを四十数年間務めた蕨野さんは、62歳で退職後、自宅近くに所有する山の斜面などを開拓し、さまざまな木の植樹を始めた。苗の一部は緑の募金の助成を活用し、ソメイヨシノのほかにも、アジサイ100本、桃10本、梅、トチノキ、モミジ、ケヤキなどを植栽。石垣は自分で1個1個石を積み、椅子や机を置いた休憩スペースや小川、小さな池、山の斜面の遊歩道などを整備。石の積み方は独学だが、「やっぱり『表』をきれいにしないとダメだ」と見栄えにこだわりを持つ。

 傘寿を迎えても元気な蕨野さんは、石垣積みや趣味の剪定の技能を生かして町シルバー人材センターの会員としても活躍しており、「シルバーでの仕事や人との出会いが健康の源。植樹の活動は続けていきますので、皆さん遠慮なく自由に入ってきて見てもらえれば。みんなが集まる憩いの場になればうれしいですね」と笑顔。今後も竹林の一部を開拓して、さらに植樹面積を広げていくという。

 場所は稲原中学校西約600㍍、国道425号と平行する旧道から、宇津木谷池西にある小道を入ってすぐのところ。知り合いの間では「わらびの公園」と呼ばれている。