マンゴーの育成に取り組む文室さん㊨と坂本県議

 美浜町田井のビニールハウスで、同町内に住む近畿大学附属湯浅農場の元教授文室(ふむろ)政彦さん(68)が独自品種のマンゴー作りに挑戦している。

 文室さんは2006年から14年間、同大でマンゴーの研究を推進。糖度の高い新品種「甘金星(あまきんぼし)」や「るびぃ色の恋」の開発・育成に携わり、音の伝わり方の違いからマンゴーの甘さを測定する音響振動法を確立した。

 2年前に大学を定年退職後、「紀州美浜しおかぜマンゴー」「紀州美浜あま恋マンゴー」と名づけた2種類のオリジナル品種の開発に挑戦。順調に育てば今年8月上旬にも初収穫の予定で、来年度の町のふるさと納税返礼品でも取り扱うという。

 スーパーなどで多く販売されている品種のアーウィンが糖度14~16度であるのに対し、紀州美浜しおかぜマンゴーは糖度が18度以上、紀州美浜あま恋マンゴーは20度以上と高糖度を目指している。ほかにもあま恋マンゴーとアーウィンをかけ合わせた新品種の育成にも取り組んでいて、成功すれば収益率が高いとされる早生で糖度の高い品種となる。

 文室さんは「マンゴーは最低でも室温20度以上を維持しなければならず、燃料代がかさみ、収益率が低いですが、難しいからこそモチベーションも湧いてきます」と話している。

 25日には文室さんの知り合いの坂本登県議がハウスを訪れ、「品種開発がこの日高地方で順調に進んでいるのはうれしい限り。今後も品種登録に向け、できるだけ応援したい」と話していた。