世界最高齢でヨットでの太平洋横断に挑む海洋冒険家の堀江謙一さん(83)=大阪市出身、兵庫県芦屋市在住=。1962年、日本人として初めて小型ヨットで太平洋単独無寄港横断に成功。74年には日本人初の小型ヨットで単独無寄港世界一周にも成功するなど、海洋冒険家として注目を集めた。今回の冒険に使用するヨットのサントリーマーメイド3号は全長6㍍、重さ1㌧ほどで、60年前の単独無寄港で太平洋を横断した時と大きさが同じだという。今月15日にアメリカに向けて出発、26日にサンフランシスコを出港し、約2カ月かけて日本へ横断する。

 堀江さんの今回の航海は、2008年の波の力だけで進む船でハワイから紀伊水道まで冒険して以来14年ぶり。日本を離れてアメリカに渡る際の会見で、「チャレンジャーとしてマグマが溜まりすぎたと感じる。思い切り発散させたい。ワクワクする。100歳になっても船に乗っていたい」と笑った。「目標を決めてチャレンジすると、人生が充実して楽しいです。だから何か目標がある方がいいじゃないですか」とも話した。

 4月から進級や進学、就職などと人生の節目を迎える人が多いだろう。その時には誰しも少なからず、夢や目標を立てる。しかし、月日が経過し、それが現実とかけ離れていることに気づいて諦めてしまうことが大半。そのスケールが大きければ大きいほど、叶えることが難しい。

 夢や目標を持つことは人間だけに与えられている。一度きりの人生、もう一度、若かりし頃の夢や目標を思い出して挑戦してみてはどうだろう。堀江さんが年をとってもチャレンジする勇気を与えてくれているのではないか。

(雄)