テープカットとくす玉割りで開通を祝った

 みなべ町との境界付近の田辺市芳養町から高速道路南紀田辺インターへ直通する国道42号田辺西バイパスが完成し、20日に現地で開通式が行われた。1997年の事業化から25年、275億円を投入した道路が待望の全線開通となった。田辺へのアクセスが短縮されて住民の利便性が向上するほか、近い将来発生が懸念される南海地震の津波時には避難や輸送の命の道としても期待されている。

 開通式はみなべ町側の芳養町大屋地内の特設テントで行われ、二階俊博衆院議員、鶴保庸介参院議員、仁坂吉伸県知事、日高郡内各首長ら98人が出席し、盛大に完成を祝った。

 主催者を代表して国土交通省近畿地方整備局の東川直正局長が「国道42号の慢性的な渋滞緩和と津波時のう回路として安全が確保される。今後は直通する高速道路紀勢線の全線開通に努力していきたい」、仁坂知事も「地権者や国会議員の皆さんの力添えで全線開通でき、心からお礼申し上げます」と感謝した。地元の真砂充敏田辺市長は「災害時や緊急時の交通確保、渋滞緩和等住民の利便性向上につながると確信している」と述べ、二階衆院議員は「県内外の人が紀南に来て素晴らしさを共有するチャンス、そして地元は地域の躍進のチャンスとなる。開通を出発点に地域が発展するよう誓い合おう」と地域活性化へ団結を求めた。みなべ町の南部幼稚園児らのお祝いメッセージがモニターで流されたほか、万歳三唱で喜びを分かち合った。

 完成した道路に移動し、二階氏らがテープカット、みなべ町の原田覚町議会議長らがくす玉を割り、全線開通を祝福。田辺署のパトカーを先頭に来賓らが車に乗り込んで通り初めパレードも行った。この日午後3時から供用が開始された。

 田辺西バイパスは、南紀田辺インターからみなべ町堺との境界付近の田辺市芳養町大屋を結ぶ総延長3・8㌔のアクセス道。2001年度から工事が始まり、07年度には同インターを起点に4車線の600㍍区間が供用スタート。さらに14年度には芳養町清地路地内までの2車線1・6㌔間が完成し、供用が開始されていた。残り1・6㌔区間の工事が進められ、今回、待望の完成となった。これまでの国道よりも山側で標高も高くなるバイパスは災害時の代替道路として大きな役割を果たす。バイパス沿いの山の法面には避難階段が整備されており、最大で標高27㍍地点まで逃げられるようにしている。