産地の動画でスイカをPRする大野さん

 JA全中が先月、産地振興や技術普及等の取り組みを発表する第6回JA営農指導実践全国大会を開催し、JA紀州いなみ営農販売センターの大野隆之センター長(46)が、小玉スイカの産地復活を図った発表を行い、最優秀に次ぐ準グランプリの審査員特別賞を受賞した。

 全国8ブロックで行われた大会の最優秀者8人が参加し、発表は新型コロナ対策としてオンラインで行われた。県、近畿ブロック大会を勝ち上った大野さんは「小玉スイカの産地復活に向けて~スイカで儲け未来へつなぐ産地~」をテーマに発表した。

 日高地方は昔から小玉スイカの産地だったが、JA紀州合併前までは出荷量が不安定だった。2014年の合併と同時に、いなみ営農販売センターで小玉スイカの担当となった大野さんは、品種改良で味もよくなり、カット販売しなくても冷蔵庫に入る小玉スイカはまだまだ売れると考え、予約注文に対応できるだけの出荷量まで拡大し、産地復活を目指すことを決意。栽培量を増やすため、春の彼岸以降は価格が下がるスターチスの生産者に後作を勧めた。

 当初難色を示した生産者に総合的にみた所得向上を説明・説得を続け、作付け増加のため新たな育苗会社を選定して安定した優良苗の供給体制も確保。また、JA紀州ブランドを確立するため、3つに分かれていた生産者部会を統一し、担当職員や部会役員の意識統一も図るなどし、活動開始から7年で小玉スイカの年間販売額を2・6億円から3・6億円(38%増)まで伸ばした。発表は「子どもたちが農家となり、スイカで儲け、笑顔あふれる産地であり続けるように、産地に夢を抱き思いを形にできるように、農家とともに歩んでいきます」と締めくくった。

 大野さんは受賞について「諸先輩から受け継いだ産地を農家の皆さんはじめ、多くの人に協力やサポートをいただいて取り組めたことを発表しただけで、産地が評価されたと思っています」とし、「この取り組みで産地が『スイカを植えたら儲けられるぞ』という雰囲気になったことが一番うれしい。今後も農業で生き残り、儲ける産地であり続けるよう、指導員として生産者と一緒に進んで行きたい」と話していた。