全国的に地域の活性化対策が叫ばれる中、由良町は大学生らを対象に事業活動プランをコンテストで募った。「旅館の宿泊客を増やす」「海産物の売上高を増やす」のいずれかがテーマ。全国の大学8校から39件の応募があり、タイの乗り物「トゥクトゥク」を使ったスタンプラリーなど学生らしい斬新なアイデアもみられた。最優秀賞はフィンランド式サウナで温州ミカン「ゆら早生」をアロマオイルに活用するという事業。料金のうち半額は町内の宿泊施設で使用できる金券を配布し、旅館の利用を高めるという内容だった。


 考えたのは和歌山大学2年の滝下連太郎さんと神戸大学2年の吉野実さん。2人は予備校時代に知り合った友人。由良町を訪れたこともなく、関わりはなかった。今回の応募に向けてインターネットなどでまちの課題などを調べたという。昨年夏からオンラインなどを利用して話し合い、プランづくりを始めた。より完成度の高い事業計画を作成しようという気持ちから、意見が嚙み合わずに対立してしまうこともしばしばあったという。受賞後の感想で、吉野さんは「2人で一生懸命にプランづくりに取り組んできたことが間違いでなかった」と話したことからもその真剣さが伝わった。応募したほかのグループもプランづくりのために由良町を訪れたり、アンケートを実施したりした。


 まちとゆかりもない若い学生たちが由良町の活性化を真剣に考えてくれたことは大きな成果。コンテストで提案のあった事業のアイデアをこのまま終わらせるのではなく、まちの人たちが引き継ぎ、地域に合った形にすることが大切。将来、学生のアイデアが事業として実現することを期待したい。(雄)