真っ赤に大きく育ったまりひめ(美浜町のはないちご農園で)

 年末から出荷が始まっている県オリジナル品種のイチゴ「まりひめ」。気温の低いこの時期は、時間をかけて色づき、甘く熟した実が大きく育っている。

 まりひめは、2010年に品種登録され、和歌山県の民芸品「紀州てまり」のようにかわいらしく皆に愛される品種となることを願って命名された県オリジナル品種のイチゴ。大きくきれいな円錐形に、光沢のある鮮やかな赤、甘味が強くほどよい酸味でジューシーな味わいが特長となっている。

 秋に苗を定植し、12月上旬に出荷が始まり、春をピークに5月上旬頃まで出荷が続く。気温の低い今の時期は、じっくりと時間をかけて赤くなった実が収穫されるので、濃厚でしっかりとした甘さとなり、収穫量が増え、旬と言われる春とはひと味違う味わいで人気が高い。

 まりひめには、味や形、大きさにこだわったブランド「まりひめプレミアム『毬姫様』」があり、実の重さや糖度(9度以上)など基準を設けて厳選。生産量のわずか0・1%程度しか出荷されない貴重なイチゴで、格別なおいしさとなる12月から2月に出荷期間を限定している。

 日高地方では、御坊市や日高川、印南町など35軒の生産者が計約432㌃でまりひめを栽培。定植後最初に収穫されるのが一番果で、現在収穫時期を迎えているのが二番果。まりひめプレミアム『毬姫様』も出荷している美浜町田井、はないちご農園でも、19㌃のハウスの中で、順に色づき大きく真っ赤に育ったまりひめが収穫時期を迎えている。園主の田渕道人さん(48)によると、今年は気温が低めで、収穫までのペースは遅めだが、安定した作柄。「この時期特有の甘くておいしいイチゴができています。ぜひ食べてみてください」と話している。