梅の種とシソの入ったネットを浸す山本さん(和歌山市北休賀町の幸福湯で)

 みなべ町の若手梅農家でつくる梅ボーイズ(山本将志郎代表)が5、6の両日、和歌山市北休賀町の銭湯「幸福湯」で南高梅の梅干しを漬けた後のシソと種を湯に入れる「梅ボーイズの湯」を実施。訪れた客は、ほんのりピンクに色づき、梅の香りに包まれた湯を楽しんだ。

 通常は廃棄される梅製品の加工で出た果肉がついた種と香りの濃いシソを活用。山本さんは「昔は各家が漬けていて、当たり前のように食べていた。本来の酸っぱい味を知ってもらうきっかけになれば」と話した。

 山本さんの実家は同町で5代続く梅農家。塩漬けまでが梅農家の仕事で、その後、「自分たちが栽培した梅が、どのような梅干しになり、スーパーなどに陳列されているのか分からない。正直、栽培のやりがいが持ちにくかった」と振り返る。

 「最近の梅干しは蜂蜜などで甘くなっていて、食べやすい調味梅干しが主流。甘いのしか知らない子どもが多い。このままでは、酸っぱい梅干しがなくなってしまうのでは」との危機感から、梅の本来の味を生かした昔ながらの塩とシソだけの梅干しを作ろうと、2019年8月に「梅ボーイズ」を立ち上げた。

 これまで世間には梅農家の実情はあまり知られていなかったといい、梅ボーイズはSNSなどで梅農家の取り組みなどを発信し、塩とシソの梅干し作りに励んでいる。

 活動をきっかけに、梅干しが好きで梅農家に興味がある人から「実際に農家の仕事がよく分かる」と反響があり、これまでに4人が梅農家として同町に移住し、4月にも移住者が来るという。山本さんは「活動を通して、酸っぱい梅干しを広めていけたら。梅農家に興味を持った人の入り口になれば」と話している。