感謝状を手に岡本君と的場署長㊧、隅田卓也生活安全刑事課長

 踏切内で転倒した90代の女性を助け出したとして、御坊署は4日、日高高校2年の岡本啓正(よしまさ)君(16)=日高町小中=に感謝状を贈った。岡本君は、遮断機の下りる踏切内で身動きがとれなくなっていた女性を見るや、警報機が鳴る中、非常ボタンを押して電車を止め、女性を抱えて踏切の外へと救出。「頼むから間に合ってくれという思いでした。おばあさんが無事でよかった」と笑顔を見せた。

 岡本君は冬休み中の昨年12月27日午前11時15分ごろ、硬式テニスのクラブ活動で練習を終え、学校から自宅に向かって自転車で湯川町丸山地内を帰っていたところ、国道向かいのJRきのくに線第一丸山踏切で高齢女性が転倒するのを目撃。警報機が鳴り響き、遮断機が下りる中、国道を渡って駆けつけ、踏切の脇に設置されている非常停止用ボタンを押した。

 御坊駅から紀伊内原駅へ向かう普通列車が数百㍍先(南)で停車したのを確認。遮断機をくぐり、女性を抱えて、一緒に踏切の外へ出た。2人にけがはなかった。

 この日、署長室で的場克郎署長が感謝状を贈呈。「迅速かつ的確な行動で、人命を救助していただき、ありがとうございます。人命救助のため、すぐに行動するのは難しいことだが、その行動力に感謝しています」とたたえた。

 岡本君は「周りに他の人がおらず、『自分しかいない、助けないと』、『頼むから間に合ってくれ』という気持ちでした。やるべきことをできたと思います」と振り返り、「普段から両親に『人に優しくしなさい』と言われています。それがよかったのかな」とにっこり。「これからも冷静、迅速に行動していきたい」と話した。