本格始動する森永代表(中央)と運営会社代表や監督、選手ら

 県外から紀南地方に移住し、農業を中心に地元企業で働きながら地域貢献を目指す新しい形の社会人サッカークラブ「南紀オレンジサンライズFC」が、2月15日から本格始動する。昨年夏から選手募集を行い、クラブの理念に共感した16人の入部が確定。4月から県社会人3部リーグに参戦し、地域の労働力不足解消の一助となりながら、強いチームづくりに挑戦する。

 京都出身の森永純平さん(32)=大阪=が代表。大学卒業後、四国アイランドリーグで2年、滋賀のサッカー関西リーグのチームで6年、運営スタッフとして活動した経験から、「アマチュアが勝つだけで地域に貢献するのは難しい。そもそも地域に不可欠な存在となるチームをつくりたい」と発案。日本一の梅産地として有名な一方、労働力不足が課題となっているみなべ・田辺地域を拠点にチームをつくることにした。

 「サッカークラブ×移住×農業」がスローガン。県外から募った選手とスタッフが紀南地方に移住し、サッカーだけでなく農業や地元企業の労働力となることで地域に貢献し、地域活性化も目指すというこれまでにない新しい形のクラブを目指す。

 監督、コーチ、マネジャー、選手はSNSを中心に募集をかけ、今月7日現在、峯上裕樹監督(26)やコーチ、マネジャーのほか選手16人が内定。宮城、神奈川、東京、大阪、福岡など15人が県外者。いずれもチームのコンセプトに賛同し、長く和歌山に住んでいたい思いを持つ個人を選んでおり、今後は合同セレクションでサッカー選手としての能力を重視したメンバーも迎え入れ、25人を確保する予定。

 選手を労働力として受け入れてくれる協力企業は梅加工会社や放課後デイサービス、介護事業所などのほか、梅やミカン農家も合わせて約20カ所確保しており、すでに数人はみなべ町の梅農家などで働いている。住む場所も選手寮やゲストハウスなど着実に増やしており、間もなく移住を始める。

 田辺スポーツパークをメーンに、みなべ町の共和球場や町民運動広場も練習場所にしている。今後は2月15日に田辺スポーツパークでトレーニングを開始する。森永代表は「地域の協力のおかげで順調に準備できており、感謝の気持ちでいっぱい。地域貢献できるチームを作り、サッカーに興味のない人にも応援してもらえるように頑張りたい」と話している。