紀の国わかやま文化祭「きのくに短歌の祭典」学校の部で、智弁和歌山高校1年の伏木千晴さん(御坊市名屋)の作品が最高の文部科学大臣賞を受賞した。「彩り」「ときめき」「これから」をテーマに作品を募集しており、伏木さんは国語の授業の一環で詠んだ短歌を応募。「宿題で詠んだだけなので、受賞できるとは思わずとても驚きました。うれしいです」と喜んでいる。

 学校の部の応募総数は全国から8317首。上位14賞のほか選者15人がそれぞれ選者賞各1点、特選各2点、入選17点を選んでおり、伏木さんの作品は文部科学大臣賞のほか選者3人の特選、4人の入選に入った。伏木さんは小さい頃から本を読むのが好きで、国語で教わる百人一首や与謝野晶子の短歌が好きだったが、自分で詠むのは国語の授業が初めて。受賞作品は「彩り」をテーマに詠んだ「モノクロの写真の中の祖母が着る晴れ着はきっと鮮やかな赤」。同居している91歳の祖母を詠んだ短歌で、実際にそういう写真を見たわけではないが、若い頃の話などをよく聞かせてもらったことがあり、きっと美しい晴れ着を着ていたことがあっただろうと想像を働かせて詠んだ。賞状とともに作品を書いた短冊を贈られ、「祖母を詠んだ短歌で最高の賞をもらえて、うれしく思っています」と話している。

 日高地方関係ではこのほか、淺井明未(みんみ)さん(日高中2年)の「あの人にラインをおくり既読つく短い返事だけどうれしい」、畑﨑悠定(ゆうじょう)君(智弁和歌山中2年、みなべ町)の「スーパーでときめいている母を見た肉の塊半額シール」が特選。入選は次の皆さん(本紙把握分)。

 古屋陽世(日高中2年)「本を読むあの手触りとあのにおい僕は飛び込む本の世界へ」、土屋洸太(同中2年)「ラジコンを操作している父の背はタイムスリップしているようだ」、中田季良(桐蔭中3年、御坊市)「まだまだと諦めはしないひこばえは強く太く鮮やかだった」、畑﨑悠定(智弁和歌山中2年、みなべ町)「なにもかも画面で選んでよういしたぼくの妹初登校だ」、廣田采耶(みはま支援学校高等部3年)「就職は不安緊張入りまじる私のちから輝かせたい」