大阪狭山市のスーパーで17日に3人が死傷した事故と同様、65歳以上の高齢ドライバーによる相次ぐ事故を受け、運転免許証の自主返納に関心が高まっている。御坊署管内では今年度から、全6市町で支援制度が完備。公共交通網が充実しておらず、「車がないと生活できない」という田舎特有の課題がある中も、高齢ドライバーの事故減少に向けて警察と自治体、民間も協力し、一層の自主返納を促している。

 大阪狭山市ではスーパー前で乗用車が暴走し、87歳の男性がはねられて死亡。90歳と77歳の女性2人が重傷を負い、乗用車を運転していた89歳の男が逮捕された。男がブレーキとアクセルを踏み間違えたとみられている。

 東京・池袋では2019年4月、当時87歳の男が運転する車が母子をはねて死亡、9人が重軽傷。裁判でペダルの踏み間違いが認定された。また、昨年7月には札幌市で80歳の女が運転する車がスーパーに突っ込み、2人が死傷した事故でも女は「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と説明。高齢者の運転操作ミスによる事故は全国で後を絶たない。

 今年10月末までに御坊署管内で発生した自身事故は35件、傷者39人。このうち高齢者が関係するのは25件で約7割を占めている。

 御坊署管内で今年10月末までに運転免許証が自主返納された件数は199件で昨年同期比9減。一方、警察では高齢者の免許返納を促すため、希望すれば運転経歴証明書を交付しており、同署管内で同じ時期の証明書交付申請者数は172人で16人増となっている。

 証明書は身分証明書として使えるほか、住んでいる自治体によって特典が受けられ、同署管内全市町が高齢者支援施策を含めてサポート事業を実施。熊野御坊南海バスも10月1日から一般乗合バス全線で返納者割引を行っており、運転免許証の自主返納を後押ししている。

 免許の自主返納は和歌山の交通センターや県内各警察所で受け付けている。御坊署は「高齢者が関係する事故が目立っています。運転に不安を感じたり、身体的な機能の衰えを自覚したりしたときは、免許の返納という判断をしてください。各市町や民間の支援もあります」。御坊署への問い合わせは℡0738(23)0110。