写真=木の枝に巣箱を設置する和大生

 みなべ町のみなべ川森林組合、梅郷クラブ、まちキャンパスプロジェクトが14日、世界農業遺産である梅システムを後世につないでいこうと、薪炭林や減少しているニホンミツバチのすみかとなる蜜源の森再生へ向けた植樹活動を行った。

 世界農業遺産の住民提案型事業補助金を活用して実施。谷を埋め立てた西本庄地内、西本庄生産森林組合(栗原修組合長)が管理する山の斜面約20㌃に、紀州備長炭の原木となるウバメガシ200本、ニホンミツバチのすみかとなるヤマザクラ、サザンカ、ツツジなど広葉樹8種類160本を植栽した。薪炭林、ミツバチとも世界農業遺産である梅システムで重要な役割を果たしており、未来につなぐ具体的な取り組みとして昨年から行っている。

 森林組合員、梅郷クラブメンバー、世界農業遺産を若い世代に伝えていく「まちキャンパスプロジェクト」の一環として和歌山大学で梅システムを研究する「ひなたぽっと」の学生ら約60人が参加。つるはしなどを手に斜面で作業に汗を流し、植えた木はシカやウサギなどの食害から防ぐためにネットで覆った。森林組合の松本貢参事は「世界農業遺産への登録をきっかけに、梅郷クラブのように山に関心を持ってくれる人が増え、住民に浸透している表れ。今日はこんなに多くの人が参加してくれて、これからも山を育てる輪を広げていきたい」。梅郷クラブの蜜源樹の森プロジェクトの中井貴章リーダーは「ニホンミツバチはセイヨウミツバチと違って、気温が低くても少しくらいの雨でも活動する。梅は寒い時期に花が咲くので、ニホンミツバチを増やして受粉に活躍してもらうのが理想。ここ数年減少しているので、巣箱や蜜源の森を広げて個体数を増やしていきたい」と話していた。

 ひなたぽっとは前日、ニホンミツバチを増やそうとみなべ町の有志でつくる「ビーフォレスト・クラブみなべ100年の森」(下村勤会長)の指導で巣箱を作り、この日は自作の11個を山に設置した。観光学部1年の後藤愛佳さん(18)は「梅システムにミツバチが密接に関係していることを学びました。巣箱にニホンミツバチが入って増えていってほしい」と願いを込めて作業していた。