先日、講師を招いて防災や最新技術について聴く和高専・次世代テクノサロンで、エフエム和歌山クロスメディア局長の山口誠二さんから「AIアナウンサーの開発とラジオ災害放送」で聞いた。印象的だったのは人工知能サービスを使ったAIアナウンサーを活用した放送だ。人のアナウンサーを四六時中、常駐させることは難しいが、AIアナウンサーを使えばディレクター一人がいれば放送でき、深夜、早朝にかかわらず放送し続けられるという。

 ラジオは災害時に役に立つメディアとして知られている。東日本大震災の際には、臨時災害放送局が次々と開局。放送では、被災者安否情報、電気・ガス・水道などのライフライン復旧状況、給水車の巡回ルート、停電・断水状況、仮設住宅、交通情報など必要な情報を提供するとともに、音楽やリスナーのメッセージなども流し、被災者の生活だけでなく心の支えにもなった。そんな臨時災害放送局の課題の一つだったのが、アナウンサーの確保だが、AIアナウンサーがある今なら当時よりスムーズな放送ができるだろう。

 講演の中でもあったが、ちょっとした地震などの時はラジオよりテレビをつけたり、ネットで調べる人も多いだろう。ただ大災害で電気の確保も難しい状況になれば、乾電池だけで動かすことができるラジオが活躍する。

 災害時は、普段は地域情報などを発信するコミュニティFMが臨時災害放送局となる場合もあり、スムーズな情報発信が可能になる。日高地方ではこういったFM局はまだない。大災害発生時に住民の生活を守る情報を発信する手段の一つとして、準備しておく必要があるだろう。  (城)