県内で長年活躍した保健師や看護師らの功績をたたえる県ナース章の受章者が決まった。今年度は県全体で14人。日高地方関係では御坊保健所保健課長で保健師の東登紀子さん(59)=白浜町椿=、日高川町保健福祉課主幹・統括保健師の尾崎久美さん(59)=日高川町皆瀬=、ひだか病院看護部長の小松香世美さん(58)=美浜町和田=が選ばれた。表彰式は11月2日、県庁で行われる。

 東さんは看護師経験を経て、1988年に県の保健師となり、これまで新宮(串本支所含む)、田辺、御坊の各保健所に勤務。30代半ばまでは地区担当として各市町とともに事業を展開し、その後は精神保健福祉を中心に難病や母子を担当してきた。精神保健福祉では緊急対応や家族教室開催、訪問、相談、啓発業務に尽力。このほか、女性相談にも従事してきた。

 「保健師は地域を『診』る仕事」と、積極的に地域や住民と関わり、市町とも連携。予防を含めた健康づくりに力を入れる。受章に「目の前の仕事をやってきただけで、上司や先輩、同僚らのおかげ。そして地域住民の皆さんの支えが原動力。感謝しかありません」と話している。

 尾崎さんは、1985年6月に保健師として県保健所の職員に。「住民さんの近くで仕事がしたい」と94年に旧中津村職員となった。母子、成人、精神保健すべての分野で健康保持や増進に尽力、顔の見える身近な相談相手として地域に寄り添い活動。2005年には町村合併で日高川町の保健師を束ねるリーダーシップを発揮。06年には町地域包括支援センターの立ち上げで高齢者の健康課題に取り組んでいる。11年の日高川大水害では、被害状況の把握や避難所の衛生管理のほか、被災家庭を訪問し住民の声を聞き、きめ細やかな支援を行った。平時から保健所や医師会など関係機関との連携を強固にし、災害や新型コロナなど非常時の対応も円滑に行える体制整備に力を注いだ。

 「周囲の皆さんや家族に支えられ、何より住民のみなさんに励まされてこれまでやって来ました。本当に感謝しています」と話している。

 小松さんは1985年に現在の病院へ就職し、2017年から現職。これまで内科、外科、精神科、産婦人科・小児科病棟で勤め、院外でも県看護協会の委員や支援員として活躍している。副看護部長になってからは認定看護管理者の資格を取得し、看護職員のリーダーで教育担当責任者として教育体制の構築や看護実践、看護の質の向上に貢献。感染予防対策委員としても看護部のリーダー的役割を担っている。

 「ピンチはチャンス」と前向きで、常に患者を思い、笑顔と自立を大切に勤務。同じように後進の指導にも力を注ぎ、受章に「上司や先輩、同僚らスタッフ全員の力があったからこそです。本当にありがたく思います」と話している。