正月の楽しみの一つである箱根駅伝。まだ2カ月余り先の話だが、出場チームを決める選考会が23日に開かれた。今年の箱根駅伝でのシード(上位10校)を除く本選出場を目指した41校が参戦し、各校上位10人の合計タイムで競い、上位10チームが箱根切符を手にした。その中で話題をかっさらったのが、初出場を決めた駿河台大である。中学教諭として教壇に立ちながら、箱根駅伝への挑戦のためと、心理学を学ぶために「自己啓発等休業」を利用して昨年、3年生に編入した今井隆生選手(31)がメンバーに名を連ねる。今井選手が昨年の予選会で30歳のルーキーとして注目されたことで、個人的に駿河台大を応援していた。

 昨年の予選会は15位。今年は8位と大躍進で、今井選手もチーム(12人中)10位の走りで本選出場に貢献した。選手兼コーチとしてチームメートを鼓舞し続け、実力をつけて選手としても欠かせない存在になった。4年生のため今年がラストチャンスだっただけに、ドラマチックな結末に胸が熱くなるような、何かに挑戦したくなるような気持ちにさせてもらった。今度はチーム内での激しいレギュラー争いに勝って、箱根で激走する姿を見せてほしい。

 駿河台大の監督も20年前、箱根で話題になった人物。法政大2年で1区区間賞、4年のときは2区でまさかの途中棄権と天国と地獄を味わった人。茶髪にサングラスで走る姿は印象に残る。監督に就任した10年前、部員は酒、たばこが当たり前の選手が多い中、少しずつ意識改革を行い、戦う集団を作り上げた。諦めなければ夢はかなうんだ、子どもたちにも、大人たちにも大いに響いただろう。  (片)