写真=釣鐘帰還法要が行われた

 日高川町鐘巻、道成寺(小野俊成院主)の二代目釣鐘が京都の妙満寺から16年ぶりに「お里がえり」。24日から一般公開が始まった。鐘を寄進した中世の人物逸見万寿丸の生誕七百年祭行事で、紀の国わかやま文化祭の一環ともなっている。初日朝には公開に先立ち、おいでよ!日高実行委員会(石倉忠明会長)が主催して境内でオープニングセレモニーが行われ、約100人が参加。関係者がテープカットで祝ったあと日高清姫会がジャンジャカ踊り、天音太鼓保存会が演奏を披露した。釣鐘は本堂で、11月18日まで一般公開される。

 鐘は前日の23日午後4時ごろ、妙満寺から道成寺へ到着、本堂に安置された。公開初日は朝から万寿会が釣り鐘型バルーンをよく晴れた空に揚げ、本堂では釣り鐘帰還法要。町関係者や万寿会の湯川宗一会長、万寿丸の子孫、同町と関わりの深い和歌山大教育学部の海津一朗教授とゼミの学生も参列し、小野院主の読経で焼香した。

 続くセレモニーでは、石倉会長が「いい日和に恵まれ、妙満寺さんのご厚意で無事に16年ぶりお里帰りを迎えることができた。多くの方々のご支援にお礼を申し上げたい」、紀の国わかやま文化祭日高川町実行委員長となる久留米啓史町長が二代目釣鐘について「さまざまな古典芸能のもとになった」と説明。石倉会長、久留米町長、小野院主らのテープカットのあと、境内にとぐろを巻いた大蛇の周りで日高清姫会が「ジャンジャカ踊り」を披露。うろこをイメージした着物に身を包み、大蛇を囲んで回りながら手さばき足さばきも見事に踊った。続いて、同寺の山号から名付けられた天音太鼓保存会メンバーが登場。鉢巻とハッピ姿で、勇ましくばちを振るった。

 セレモニーのあと、参拝者らは早速本堂に入り、釣り鐘と間近で対面。やや小ぶりな鐘を興味深く眺めていた。御坊市から訪れた2人連れの女性は「16年前にも見に来ました。また見ることができてよかったです」とうれしそうに話していた。万寿丸の子孫に当たる岡山県在住の逸見祐一さん(49)は「家系図を見て武田信玄の祖に当たる家であることは知っており、京都の妙満寺へも釣り鐘を見に行ったことがあります。万寿丸の人物についてはよく知らなかったのですが、こんな催しが行われるほどの人だったと知って驚きました」と話している。

 小野院主は「国民文化祭関係者と妙満寺さんのおかげで再びお里帰りが実現し、本当にうれしく思います。これで11月18日まで、本堂、二代目釣鐘、秘仏と、万寿丸が遺してくれた文化財が一度に拝めます。この3つの宝が我々をコロナ等から守り、導いてくださることでしょう」と話している。