写真=最優秀賞を受賞した作品

 第75回和歌山県美術展覧会(県展)の各部門審査が行われ、華道部門で西厚美さん(62)=美浜町和田=の作品が最優秀賞を受賞した。展示は来年1月、県民文化会館と県立近代美術館で行われる。

 西さんは元小学校教諭で、20年ほど前から勤務の傍ら生け花を始めた。現在は未生流師範。西厚甫の名で活動している。県展には今回が初挑戦で、見事最優秀賞となった。

 作品のテーマは自然と人工物の融合、調和。高さ約160㌢と、ほぼ西さんの身長と同じの大作で、花材はユーカリ、カトレア、クワズイモ。構図を決めてからふさわしい花を求めて散策し、知人がユーカリやカトレアを提供してくれた。大きなユーカリの枝とアルミのダクトを組み合わせ、安定させるのに苦心した。ユーカリの樹皮のざらざらした質感や褐色の色合いを生かしながら、鮮やかな赤と白のカトレア、つややかな緑のクワズイモの葉を配してバランスを考えながら仕上げた。下は根を張り、上部は空に向かって広がる形で、「未来へ向けて人と自然が調和していく」という思いも表現している。

 「華道部門はその場で生け込むのですが、緊張というよりは、出来上がっていくのが楽しいという思いでした。教員時代、図工の授業で子どもたちと一緒に自然のものを生かして作品を作っていた経験から、今回のアイデアが浮かんだのかもしれません。初めての挑戦で入賞できるとは思っていなかったので、知らせを受けて本当に驚きました。うれしいです」と喜びを話している。

 県展は来年1月12日から16日まで開催。華道部門は県民文化会館、洋画、日本画、書、写真、工芸、彫塑部門は県立近代美術館で展示される。

 そのほか工芸部門で、北垣信江さん(日高町志賀)の作品が佳作入賞した。入選は次の皆さん(洋画・彫塑部門の結果は後報)。

 工芸=大堀由美(美浜町)、阪口敏子(御坊市)▽書=笹野美翠(印南町)▽日本画=小野千寿子(日高川町)▽写真=近藤義之(御坊市)