「賀」こと湯川賀弘記者が入社したのは、筆者が入社してから3年後。もう25年、四半世紀も前のことになる◆キャリアは3年、年齢は7歳ばかり上の、年ばかり重ねてさっぱり頼りがいのない筆者を先輩としてちゃんと立ててくれた。社会問題など何事に関しても一家言あり、独自の説を拝聴するのもまた楽しい時間だった◆紹介してもらった本は数多い。筆者は面白い本ならなんでも好きと言いながらも、ミステリー小説などフィクションに傾いていたが、社会系のノンフィクションやスポーツ物などどんどん勧めてくれた。特に、勧められなければ自分から読むことはなかった「サラリーマン金太郎」(本宮ひろ志)、「ゴーマニズム宣言」(小林よしのり)は予想外に内容が深く、熱いものを内に秘めており、読書人生を極めて豊かなものにしてくれる大きな収穫だった。数学者藤原正彦氏のベストセラー「国家の品格」もいち早く購入して皆に貸し出してくれ、筆者はこれに感銘を受けて「若き数学者のアメリカ」「遥かなるケンブリッジ」など他の著書を購入することになった◆病の中も、本紙の書評コーナー「本のひだかや」にたびたび寄稿。最後にお見舞いに行った時には、数冊の本を会社に寄贈してくれた。「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンドビル・キャンベルの成功の教え」「ベイスターズ再建録」「人生、捨てたもんやない やしきたかじんが遺したことば」…バラエティの豊かさに、前向きに持ち続けた知識欲が伝わってきた◆今もよみがえってくるのは、元気な姿ばかりだ。今頃はきっとあの笑顔で、自由自在にそこら辺を飛び回っているような気がする。一緒に働くことができて、とても楽しかったです。いろんな思い出を、ありがとうございました。   (里)