写真=缶ビール「完熟梅セゾン」を手に山本代表

 みなべ町の若手梅農家らでつくる「梅ボーイズ」が、完熟の南高梅を使った新感覚のビール「完熟梅セゾン」を製造した。南高梅を使ったアルコール飲料は梅酒が代表的だが、ビールは珍しい。さわやかなフルーティーな味が特長で、今年は300本限定ですでに完売。来年は本数を増やす計画で、南高梅を使った新たな人気商品として注目を浴びそうだ。

 日本一の梅産地をPRする活動を展開している梅ボーイズは、「梅を次世代につなぐ」をテーマに2年前に結成。代表を務めるのは町内で梅の加工・販売会社「㈱うめひかり」を立ち上げている山本将志郎さん(28)=晩稲=。町内ほか北海道と新潟のメンバーも加え、5人で活動している。

 山本代表が梅ボーイズを立ち上げる前、軽トラで梅の産地をアピールしながら日本一周していたのが梅ビールを発案したきっかけ。日本一周のためのクラウドファンディングで、支援してくれていた中の1社が、岩手県遠野市の㈱遠野醸造。田辺市出身の役員がいたこともあり、日本一周の際に訪ね、「何か一緒にできないか」と梅ビールを製造することになった。昨年は試作として飲食店向けの樽で製造し、好評だったことから今年、缶ビールを300本作った。山本さんが栽培している完熟南高梅を直送して造られており、ほんのりと梅の香りが漂い、フルーティーだが食事に合うように甘さを控えているのが特徴。アクセントの塩が味を引き締め、バランスのいいビールに仕上がっている。商品名のセゾンは、ベルギーで農家が農作業の合間にのどを潤すために作っていたビールから名付けた。ほとんどは岩手県で販売されたが、9月に田辺市で行った梅カフェイベントでも24本販売し、完売の好評だった。

 山本代表は「梅ビールは紀南地方でも珍しいと思うので、コロナが終息して観光が復活すれば、観光客や地元の人にも飲んでもらえるようにしていきたい」と話している。