写真=料理の楽しさを伝えている寺谷さん

 食生活改善事業の普及向上等に功労のあった人や団体をたたえる、今年度栄養関係功労者厚生労働大臣表彰の県内受賞者が決まり、みなべ町食生活改善推進協議会長の寺谷惠子さん(67)=同町清川=が選ばれた。1987年に旧南部川村で同協議会を立ち上げた当時から34年にわたって会長を務め、料理教室を開くなどおいしくて栄養たっぷりの料理を伝える活動を通して、住民の健康増進に大きく貢献している。

 今年度の県内受賞者は個人で寺谷さん、団体で有田市食生活改善推進協議会のみ。

 清川地内の名之内地区の主婦ら15人で手作り石けんの団体「しゃぼんグループ」として活動していたところ、町の依頼もあって同じメンバーで南部川村食生活改善推進協議会を発足。当時からずっと会長を務めているリーダー。田辺地区の同協議会の会長も歴任し、現在も副会長を任されている。

 調理師免許を持つなど料理が好きで、田辺地区協議会の品評会にもオリジナル料理を考えて出品。自身が栽培しているシソを使ったフルーツポンチ「シソジュースのポンチ」や「梅酢豆腐」、カボチャや豆腐などで3色に色付けした栄養たっぷりの白玉を使ったデザートなど栄養バランスを考えたユニークな料理を開発してきた。他地区との交流にも積極的で、互いにレシピを交換して地域の特産を他府県でPRしたり、逆に他県の郷土料理を地元で紹介したりと精力的に活動。自宅でも上手にできるようになるまで勉強と試作を繰り返すなど常に向上心を持って取り組んでいる。

 子どもや高齢者、男性を対象にした料理教室もたくさん開き、料理の楽しさと大切さを伝えることに力を注いできた。「料理の先生から、食材や調味料を決められた順番に鍋に入れて炊くだけの陰陽料理の『炊き込みご飯』を教えてもらいました。それを、みなべ町の合併記念に町内の小学校で振る舞ったとき、大好評だったのが思い出」と振り返る。

 今は災害時の炊き出しについて勉強中だが、コロナ禍で一時中断。「避難所には赤ちゃんや小さい子どももいる。栄養面や飽きない料理を勉強している最中なので、コロナが落ち着いたらしっかり勉強したい」とますます意欲的で、「これからも料理の魅力を一人でも多くの人に伝えていきたいです」と話している。