写真=森口さんの入選作品「コンポジション」

 日高川町和佐在住の陶芸作家、森口剛次さん(73)の作品が、笠間陶芸大賞展(同実行委員会、茨城県陶芸美術館主催)一般公募の部で入選。茨城県陶芸美術館が昨年開館20周年を迎えたことから企画された大きな公募展で、コロナ禍のため今年に延期されていた。森口さんは「結果を出せてうれしい」と喜んでいる。

 一般公募、指名コンペの2部門で実施。一般公募の部は、1次の写真審査を経て2次で実際の作品を審査する形。全国から548点が寄せられ、13点が上位入賞、134点が入選した。コンペ部門では30人の作家が出品、8人が入賞。入賞・入選作品は、10月16日から来年1月16日まで茨城県陶芸美術館で開催の「笠間陶芸大賞展」で展示される。
 森口さんは大阪芸術大学美術科を卒業後、教職に就き、仕事の傍ら26歳頃から陶芸教室に通って作陶活動を始めた。2000年の第1回翔龍祭美術展で優良賞、翌年に大賞を受賞。県展知事賞、神戸ビエンナーレ審査員特別賞、国民文化祭京都美術展奨励賞など多くの賞を受賞。

 今回の入選作品のタイトルは「コンポジション」。高さ、幅とも45㌢の大ぶりな花器で、全体を細かな枡目で区切ってさらに交互に逆方向への斜線を入れたユニークな幾何学模様が施されている。枡目と斜線によって台形、三角形が規則的に並ぶ形となり、リズムを感じさせるデザイン。色はダークブルーを基調にした濃淡のバリエーションで、光沢を抑えたマットな質感となっている。全体に引いた白い線に銀を入れ、目を引くようにした。

 森口さんは2014年、体調を崩して入院。1年半ほど陶芸から遠ざかることを余儀なくされた。この作品は入院する少し前から作り始めており、ブランクを含めて6年越しで完成させた。近年は主に幾何学模様の作品に取り組んでおり、「これまでの集大成のつもりで作りあげた作品。最近は全国的な陶芸の公募展は減っており、この公募展は数少ない挑戦のチャンスでした。結果を出すことができて、大変うれしく思います」と喜んでいる。