写真=2冊の本を手に坂下さん

 印南町印南、「緋美きもの和装道場」主宰で、町文化協会会長など多方面で活躍する坂下緋美さん(79)が、自身のヨガ体験記「喜楽に親しみ40余年 ヨガに生かされて」と随想集「随想と背景」の2冊を自費出版した。心臓の持病を持ちながらも、ヨガと出会い健康で過ごせていること、ヨーロッパで人生初の海外体験をしたことなど、それぞれ幅広い見聞を持つ坂下さんの半生をひも解く一冊となっている。

 坂下さんは日高高校を病気で中退したあと、1959年に上京して東京人形学院・短大科で学び、71年に母の看病のため帰省。県美容専門高等学校、旧県立陵雲高校を卒業し、元東宝映画美粧監督・個性美学創学者の故松嶌茂雄氏に師事。地元で着物やヨガの教室を開く一方で、町文化協会会長や県文化財保護指導委員なども務め、町の歴史探訪、伝統文化の発展などに寄与している。

 ヨガの体験記では「着物を美しく着こなすには体形を整えることが大事」という観点からヨガを始めたことや、インド、ネパール、タイでのヨガや空中浮遊体験、ヨガ教室開講への思いなどを当時の貴重な写真とともに紹介。さまざまなヨガのポーズも写真入りで解説している。随想集では随筆誌「日高野」に寄稿した20年間38稿分の随想を掲載。20世紀終わりへの思いや石見神楽の里帰り、携帯電話の功罪、トイレ事情悲喜こもごもなど、ときには鋭く、ときにはユーモアな視点でつづり、印南愛伝説巡りや印南漁民三人衆顕彰碑建立などの活動も紹介している。

 坂下さんは「持病を持ちながらもこの年まで元気に来られたのはヨガと付き合えたからかもしれません。随想は拙稿でも継続できたおかげで自分の生きた背景が思い出され、時代の移り変わりの速さに驚くばかり。そんな中、自分のささやかな足跡としてまとめてみました」と話している。部数限定出版のため販売はしておらず、公民館図書室などに置いている。