写真=左から右へ進み、産卵後に右下の海へ向かったアカウミガメの足跡をドローンの鮮明な映像で確認

 西日本最大級のアカウミガメの産卵地、みなべ町山内の千里の浜で上陸調査や保護活動を行っているみなべウミガメ研究班(尾田賢治会長)が、今シーズンからドローンを本格導入した。30日には全メンバー9人が集まり、ドローンでの調査で今季初上陸・産卵を確認。上空からの映像は非常に鮮明で、ピンポイントで産卵調査が可能になり、課題だった省力化と効率化が格段にアップした。

 千里の浜では毎年、5月から8月にかけてアカウミガメが産卵にやってくる。6月初旬には日本ウミガメ協議会が派遣する県外の大学生らボランティアが町の千里ウミガメ館に滞在して夜間調査を行うが、学生が来るまでは研究班や町教育委員会が担っている。昨シーズンは新型コロナの影響でボランティアの到着が1カ月以上遅れ、研究班の出番が大幅に増えた。

 活動は昼間、上陸の跡を探して浜を歩いているが、浜の長さは1・3㌔、幅も数十㍍あり、調査はなかなかの重労働。研究班は元青年クラブ会長らで構成しており、普段は各自仕事をしながらボランティアで行っているため、省力化が大きな課題となっていた。コロナの収束が見えない中、昨シーズン終了後、ドローンの導入を検討してきた。

 調査用ドローン(1機)は町が購入したが、メンバー全員が訓練用の小さなドローンを自費で購入。講習も自費で受講し、規定の飛行時間等をクリアして全員が操縦の資格を取得。事務局の教育委員会職員が今月中旬に一度、テスト飛行で調査を行い、全メンバーが集まった30日、初の本格調査を行い、キャタピラのような独特の上陸跡がくっきりとついているのを確認。ピンポイントで調べ、初産卵も確認した。

 メンバーは「上空からの映像は非常に鮮明で、上陸跡がはっきりと分かる。これまでの歩いての調査に比べて労力が大きく減り、画期的」と笑顔いっぱい。町では「コロナの感染が落ち着いてボランティアが来るまで、ドローンを活用してしっかり調査したい」と話していた。