写真=トーテムポールと儀兵衛氏の胸像の間で、籔内町長、髙井さん、三尾館長(左から)

 アメリカ村の再生を願い、日本とカナダの友好の証として本場カナダの彫刻家により制作されたトーテムポールが、三尾のカナダミュージアムのガーデンに設置された。11日には、寄贈主や町長らが参加して除幕式が行われ、白頭ワシやサケを手にしたクマなどが彫られた高さ4㍍を超えるポールがお目見えした。

 三尾の新たなランドマークとなるトーテムポールは、カナダ移民の先駆者工野儀兵衛氏のひ孫髙井利夫さん(72)=兵庫県姫路市、ケイ・ケイネットワークグループ会長=が理事長を務めるNPO法人国際協力推進協議会から美浜町に贈られた。

 日本カナダ商工会議所のサミー高橋会長が、以前の活気を失った三尾の現状を聞き、観光や地域活性にカナダとの友情を象徴するトーテムポールが役立つと考えたのがきっかけで、以前から交流があった井さんに提案。髙井さんは資金の提供を快諾、実現した。制作は、多くのポールを手掛けてきた北アメリカ北西沿岸地域の先住民スクアミッシュ族の血を引く彫刻家ダレン・イェルトンさんが、樹齢300年以上のレッドシダー材を使って行った。完成したポールは、高さ約4㍍、直径70㌢で、力や威厳を象徴し、友情のシンボルでもある白頭ワシ、来訪者を歓迎し、儀兵衛氏を象徴するウェルカムマンと呼ばれる案内人、強さを表すクマが、三尾とカナダをつないだサケを手にし、生命の循環を表現している。幸運を示すカエルも彫られ、人々に幸運が訪れるようにと願いが込められている。髙井さんは、個人で儀兵衛氏の胸像も制作、寄贈し、今回、ポールの隣に設置された。

 11日に行われた除幕式は、髙井さんや籔内美和子町長、三尾たかえ館長らが幕を引いた。籔内町長は「アメリカ村がいろいろな立場の人から注目を浴びている今、ポールをいただいたことは、町にとってチャンスが巡ってきたと考え、大いに発信し、活性化を目指していきたい」とあいさつ。髙井さんは「アメリカ村の歴史を風化させないため、地域の創生にお役に立ちたいと思い、協力させていただきました。今後も皆さんに曽祖父を知ってもらう事で美浜町を応援していきたい」と話していた。髙井さんには町から、感謝状が贈られた。

 三尾館長は「133年前にカナダへ移り、自分の力で未来を切り開き、地域住民を呼び寄せた工野儀兵衛氏の偉業をしっかり伝え、子どもたちにチャレンジする精神などを伝えていきたい」と意欲。