新型コロナウイルスの感染拡大を受けて仁坂吉伸知事は14日、臨時の会見を行い、和歌山、橋本、海南市など紀北地域の県民に対して今月25日まで、不要不急の外出自粛を要請した。県内では同日、過去最多タイとなる44人の感染者が確認され、保健医療行政による抑え込みが厳しくなってきたと判断。県民全体には在宅勤務(テレワーク)の活用、大規模イベントの参加自粛を強く呼びかけた。

 県ではこれまで保健医療行政を駆使して感染拡大防止に努め、県民に対しては最低限のお願いを求め、できるだけ行動の制約はしないように配慮してきた。しかし、先月下旬から変異株や大阪府との密接な関係で感染者が急増。カラオケでのクラスターも複数発生しており、今月に入って一日当たりの感染者数は過去最多を2度更新。14日には9日の過去最多と並ぶ44人の感染を発表。保健所別内訳は和歌山市30人、海南2人、岩出5人、橋本3人、湯浅2人、県外2人。変異株は新たに16人が確認され、計191人となった。和歌山市の「カラオケほーる光ちゃん」では客や従業員合わせ6人の感染が確認され、県内38件目のクラスターに認定された。県内感染者数累計は1633人、入院中は259人。330床ある病床の使用率は78・5%となり、ひっ迫しつつある。

 こういった状況を受けて県では、コロナの早期発見や感染経路の特定、陽性者全員入院による囲い込みなど、保健医療行政だけでは感染拡大を防ぎきれないと判断し、県民へのお願いレベルを引き上げることにした。不要不急の外出自粛の対象となるのは和歌山、海南、橋本、紀の川、岩出、紀美野、かつらぎ、九度山、高野の9市町。25日までの期間で感染が収まれば撤回するが、さらに拡大するようであればまん延防止等重点措置を政府に要請することも視野に入れている。

 県内事業者にはテレワークの積極的な活用を求めたほか、これまで高齢者のみを対象としていたカラオケ、ダンスなどの大規模な催しの参加自粛を、県民全体に広く呼びかけた。店舗への休業要請は現時点では行わない。引き続き、大阪への不要不急の外出や家族以外とのカラオケの自粛、早期のクリニック受診もお願いしている。

 仁坂知事は「このままでは感染が爆発してしまう恐れがある。不要不急の外出自粛は県の大方針転換となり、お詫びするとともに、協力をお願いしたい」と述べた。