写真=本番と同じ流れでワクチンを接種する医師

 みなべ町は、4月29日から新型コロナワクチンの集団接種をスタートさせるのを前に、28日に会場となるふれ愛センターでシミュレーションを行った。安全でスムーズに接種を受けてもらえるように、本番と同じ1クール30人の受付から予診票の確認、医師による診察と接種、その後の健康観察など一連の流れを実践。「人員が足りない」「応急スペースが必要」といった課題が洗い出され、本番までの修正点を確認した。

 町ではまず65歳以上の高齢者を対象に4月29日からふれ愛センターで集団接種を行う。一度に接種会場に入るのは最大30人の計画で、連日、医師は3人体制、看護師や案内係などの人員配置通りに事前訓練を行った。

 この日は2クール、計60人への接種を実施。職員や町議が接種を受ける住民役を務めた。1階入り口で検温と消毒を実施し、自動ドア前の受付で予診票や接種券、本人確認などを行い、番号札を渡していすに座って待機するよう案内。看護師が番号順に予診票の記入確認や健康観察を行い、接種場所の2階へ促した。2階ではもう一度受付を行い、医師が待機する診察室へ誘導。医師が最終の健康チェックを行った上で肩に近い腕に模擬接種。打ち終わった人は別室の受付で接種済み証や次回予約票を受け取って健康観察のため15~30分間その場で待機。体調が悪くなった人が出たと想定し、車いすに乗せて運ぶなど対応も実践した。30分後、次に接種を受ける30人に同じように訓練を行った。

 訓練はスムーズに進んだが、運営側、接種を受ける側の双方からさまざまな課題が出された。運営側からは「訓練の住民役は自力歩行が可能な若い人が多かったのでスムーズだったが、実際には付き添いの人や車いす利用者もいるので、案内係や誘導係などもっと人員が必要になる。増やさないといけない」「健康観察で気分が悪くなった人に対応するため、待機場所に応急スペースが必要」などの意見が出された。

 住民役からは待機場所や接種後の受付で密になる可能性が指摘された。接種を担当した浜口医院の浜口卓也院長(73)は「よりスムーズに進めるよう、接種前に腕を出しておいてもらうようにしてもらいたい」と話していた。

 健康長寿課の岩﨑道則課長は「いろんな課題が見つかり、訓練をやってよかった。施設の構造上、できることとできないことはあるが、本番までにできるだけ修正したい」と改善に取り掛かるとした。