2013年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)の総会で、東京オリンピックの開催が決まった。トルコのイスタンブール、スペインのマドリード、それに東京を加えた3都市の候補地が順番にプレゼンテーションを行い、IOCの委員による投票で決定。日本中が歓喜の瞬間でもあった。滝川クリステルさんが「お・も・て・な・し」と日本人の心をアピールしたことも大きな話題になり、この年の流行語大賞にも選ばれた。

 東京オリンピックは昨年夏に行われる予定だったが、新型コロナの蔓延で1年間の延長となり、今年7月23日に開幕を迎える。しかし、国内の雰囲気はというと、盛り上がりに欠けている状況で、「注目選手はだれなのか」「日本のメダル数はいくつか」などという話はほとんど耳にしない。逆に「コロナの対策は十分なのか。本当に開催できるのか」という話もちらほらと聞かれるぐらいだ。

 日本では一時期と比べて新型コロナの感染者数は減少しているが、世界に目をやると、ロックダウンを実施している都市もあるし、まだまだ感染に対する脅威はぬぐえない。世界の感染者数の累計は日本の人口に匹敵する1億2000万人を超え、死者数も271万人に達した。国内外で大勢の人がコロナに苦しんでいる。

 東京オリンピックの聖火リレーが25日に福島県をスタートした。コロナの対策が言われる中、本番まであと4カ月。スポーツには人を勇気づける力があると言われるが、コロナ禍の中で開催されるオリンピックが疲弊した世界を一変させ、世界に感動と笑顔が広がる大会になることを期待したい。(雄)