パナソニックが太陽電池の生産から撤退することを決めた。旧三洋電機時代の2000年代には世界で上位シェアにあった事業だが、中国メーカーとの価格競争で採算が悪化していたという。ものづくりを通じて技術大国としての地位を確立してきた日本だが、さまざまな分野でシェアを海外勢に奪われるのは悲しいことだ。

 ただ、最近の中国の製品は目を見張るものがある。もちろん日本製の品質の高さや信頼性は健在だが、中国製は安価ながら十分な性能を持ち、コストパフォーマンスに優れている。スマートフォンやタブレットなども高性能な商品が増えており、家電などは国産や他の国のメーカーより低価格ながら、十分に活躍する商品が出ている。消費者として選択が増えるのはいいが、やはり日本には技術大国として世界をリードしてほしい。

 そんな中、和歌山高専では未来の科学技術ドクターを養成するジュニアドクター育成塾事業を始めた。小学5年生から中学3年生を対象に、さまざまなテーマで講義を積んでいくもので、昨年11月に開講。生物学を中心にすでに多くの講義が行われてきているが、一般向けの体験講座と異なり、レベルの高い内容となっている。また講座は2段階あり、定員40人の1段階の成績優秀者10人のみが第2段階へ進むことができ、2段階では自身の興味のある内容をより深く学ぶことができる。

 育成塾事業は県内では和高専が初めてだが、全国ではすでに実施されてきており、ネットで調べると多くの子どもたちが自身の取り組みを発表している。和高専で始まった育成塾でも、それぞれの興味や得意分野を伸ばし、いつか日本を代表する技術者や科学者として活躍する人材に成長することを願いたい。(城)