昨年末、日高町の方杭漁港で和歌山高専生物応用化学科の楠部真崇准教授による、藻場の復活に向けたアマモ定植実験が行われた。
藻場は海草や海藻などの群落で、魚のえさ場となっている。しかし、近年の海水温の変化などで減少傾向にあり、漁業への影響が懸念されている。
藻場の復活へは海草などを海底に定植させる必要があるが、全国各地で行われている方法では海洋ゴミやダイバーの人件費の問題で、普及していない。
そんな中、楠部准教が考案したのは、微生物の力で砂を固めるバイオセメントをパチンコ玉程度の大きさに固めた「アマモボール」を作り、中に種子を入れ、海にまくというもの。きちんと海底まで届くほか、しばらくすれば自然に戻るので環境にやさしい。また潜水する必要もないので、簡単に作業ができる。
水槽での実験は成功し、実際の海での実験となったが、なかなかうまくはいかない。最初の年は直後に大きな台風が発生し、アマモボールが流失。翌年は発芽し成長するなど順調だったが、アイゴとみられる食害で天然の海草と共に食べ尽くされた。
3回目となる今回は数を100倍に増やすなど食害対策を講じて行っている。実験を通じて、自然環境が影響する実際の海では想定できないさまざまな課題があることを実感した。それだけこの問題の解決は困難で、また深刻な問題であることも感じた。
ただ、楠部教授や協力している学生の熱意は強く、仮に今回の実験で新たな課題が見つかろうとも、克服すべき方法を考え対応し、いつかこの画期的な藻場再生法を確立させてくれるだろう。寒い冬の海に入り、震えながらも作業に励む教授や学生の姿を見て感じた。(城)


