印南町教育委員会は23日から、切目王子史跡(西ノ地)を紹介する紙芝居「切目王子ものがたり」をユーチューブ動画にして配信している。
切目王子はかつて熊野詣の途中で儀礼を行った熊野古道九十九王子の中でも特に格式が高い五体王子の一つ。教委は将来的に世界遺産に登録することを目指しており、前段階として国指定史跡の登録を来年度にも申請する予定。今年度は提出資料となる地形図などを作成。さらにユーチューブ動画で広く発信する。
紙芝居は1446年(文安3)に伏見宮貞成親王が書き写した文献を元に、地元有志でつくるうらしま会(寺下鎮雄会長)が昨年作製。絵は上洞に住む漫画家の太田絢子さんが担当。金剛童子と呼ばれ熊野権現に仕えていた切目王子が、お坊さんを殺してしまった罰で片足を切られて悪さをするようになるが、友達の願いで「きな粉を顔に塗った信者は襲わないようにする」と約束。それから悪さをしなくなった。切目王子はいまも、時には優しく、時には恐ろしい神様として道行く人を見守っているというストーリー。ユーチューブ動画ではフリーアナウンサーの藤原圭子さん(湯浅町)がナレーションを務めている。
教委は「コロナの影響で紙芝居を披露する場が作れない状況の中、より多くの人に『切目王子ものがたり』を通じて切目王子神社の歴史を知ってもらえれば」と話している。
写真=ユーチューブで配信されている動画の一コマ