昨今、SNSやインターネットで「大麻は安全」という誤った情報が拡散され、全国的に若い世代を中心に大麻の乱用が大きな問題となっている。和歌山県では薬物乱用の危険性を正しく、分かりやすく理解してもらおうと、漫画を活用した薬物乱用防止啓発パンフレット「凛の選択」を作成し、10月中に県内全139中学校へ計2万4177部を配布する。

 パンフレットはA4判、26㌻。掲載されている漫画は、県内在住のペンネームみずすさんが描いた。真面目で成績優秀な中学3年の女子生徒「凛」がある日、仲良しの友達2人と一緒に受験勉強をしていると、突然、友達から薬物(大麻)を勧められ、一度吸ってしまったために不幸な運命に落ちてしまうというストーリー。漫画のあとには薬物を乱用した場合、幻覚や運転中に体が動かない、心停止などの身体への影響、耐性、フラッシュバックなどが起こることについて説明。薬物依存症者の家族の「生の声」も掲載している。また、薬物乱用から身を守るための断る勇気や断るコツについてもふれ、「海外では日本と違い大麻が犯罪とならない国や地域があるが、それは国や地域で社会事情や背景が異なることによる苦肉の策で、『大麻が安全だから』というわけではない。大麻が犯罪とならない国や地域でも健康への影響を受けやすい未成年者には大麻の利用が厳しく禁じられている」としている。

 国内では大麻取締法があり、大麻を所持・譲受・譲渡した場合の罰則は、5年以下の懲役。営利目的だった場合は7年以下の懲役となり、さらに200万円以下の罰金の併科になる場合もある。

 仁坂吉伸知事は25日の会見で「漫画の主人公はかわいらしく描かれているが、大麻を吸うことであんな恐ろしいことになるんだということを理解してほしい」と話した。

 県はこのパンフレットを読んだ生徒を対象に、「薬物には絶対に手を出さないで」という強い思いを込めた啓発メッセージも募集する。中学生と高校生の2部門。締め切りは来年1月15日。個人は最優秀賞1点、優秀賞3点、入選10点、団体(学校)は特別賞がある。

写真=薬物乱用防止パンフレット「凛の選択」