美浜町のNPO法人日ノ岬・アメリカ村(小薮清信理事長)が、カナダ移民の先覚者工野儀兵衛の生涯をつづった絵本を制作。三尾のカナダミュージアムで8月1日から、絵本の原画展が開かれる。

 132年前にカナダのバンクーバーに渡った三尾生まれの工野儀兵衛は、サケ漁に光明を見いだし、多くの村民を呼び寄せた。村民を受け入れる下宿所なども経営し、「カナダ移民の父」として語り継がれている。

 NPOでは、カナダ移民の歴史を伝える活動を行っており、カナダミュージアムは1934年に帰国した移民者によってカナダの様式を取り入れて建てられた民家を活用し、移民者がもたらした文化やカナダでの足跡を展示している。

 絵本「工野儀兵衛ものがたり」は、儀兵衛が三尾で暮らしていたころから、カナダに渡っての生活などその生涯を1冊にまとめた。文章は三尾の語り部から指導を受けた美浜町出身の柳本文弥さんが担当し、絵は地元で創作絵画教室アトリエビアンコを主宰するえんどうひとみさんが手掛けている。

 ミュージアムの三尾たかえ館長によると、工野儀兵衛の資料はこれまで移民史の研究者らが書いた専門的なものばかりで、一般向けのものはなかった。「あまりにも知られていない移民の始まりとなった儀兵衛の物語を、誰にでもわかりやすく知ってもらい、特に子どもたちに親しみをもってもらえれば」と話している。

 A4判、26ページ。日本語版と英語版を製作し、町内の小中学校に寄贈。

 絵本の出版を記念して来月1日から31日まで、カナダミュージアムで原画12点が展示される。原画展の入場は無料。火曜休館。問い合わせはカナダミュージアム℡0738―20―6231。

写真=絵本を手に原画展をPRする三尾さん