昨年10月の消費税率引き上げに伴い、需要平準化対策やキャッシュレス対応による生産性向上、消費者の利便性向上を目的に実施された「キャッシュレス・消費者還元事業」が6月末で終了した。

 同事業には、全国約115万店が登録加盟(6月11日時点)し、県内では9459店、日高地方では702店が加盟店となった。昨年10月から今年3月16日までの全国の利用状況では、対象決済金額が約7兆2000億円で、約2980億円が還元されている。キャッシュレス推進協議会が同事業開始前、開始1カ月半、7カ月半の3回に分けて実施した消費者向け調査では、「還元事業をきっかけにキャッシュレスを始めた」、または「支払い手段を増やした」と5割前後が回答。キャッシュレス決済の普及、促進には一定の成果を上げたと言える。

 筆者もその一人で、もともと通信販売などではクレジットカードを利用していたが、地域の店では現金で支払っていたところをポイント還元対象の店では、電子マネーやQRコード決済を利用するようになった。とくにQRコード決済は、慣れればスマホだけ持って行けば買い物できる手軽さが快適で、これからも使い続ける予定。

 一方、経済面を見ると、増税した10月の世帯消費支出は前年同月に対し5・1%減り、12月の百貨店の売り上げも5%減など、軽減税率やポイント還元の効果は薄い。そこにきてコロナ不況に突入し、冷え切った経済はリーマンショックよりも深刻。コロナの経済対策で、ポイント還元事業の延長や消費税の一時減税の案が話題に上がったこともあったが実現しなかった。景気回復には、消費意欲をかき立てられるような思い切った施策が待ち望まれる。(陽)