全国初の認知症当事者の視点に立った「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」の制定をはじめ、先進的な認知症施策を進めた御坊市の柏木征夫市長に5日、関係機関と市内の介護サービス事業所や当事者ら認知症施策推進チームから、手作りのパネルやフラワーアートが贈られた。10日の任期満了による退任を前にしたお礼。これまでの積極的な取り組みに対する感謝の気持ちを伝えた。

 御坊市は2016年度から地方創生事業の一つで「ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト」を推進。認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子副センター長をアドバイザーに、行政主導から認知症当事者を主役にし、行政、事業所、地域が一体となって当事者や家族を支援する取り組みを推進。全国に先駆けて認知症本人の視点に立った条例づくりを進め、認知症当事者や家族の声を反映させた条例を昨年3月制定、4月施行した。

 誰もが生き生きと活躍でき、希望を持って自分らしく暮らし続けられるまちの実現を目指す中、全国一の生産量を誇るスターチスを認知症支援のシンボルにし、当事者ら手作りのノベルティを配布。シンポジウムや本人サミットを開催しており、当事者の気づきが周囲を動かして認知症バリアフリー社会を推進するという事例も起きている。

 この日、認知症当事者の山際裕三さん(80)=薗=、林香代子さん(81)=湯川町財部=、山際さんの長女北山善子さん(52)=同町小松原=と、市内の日高博愛園、日高博愛園しおや、あがら花まる、支援センター藤田の職員・スタッフが市役所の市長応接室を訪問。スターチスで「ありがとうございました」の文字を手作りしたフラワーアート作品と、これまでの取り組みや当事者らの笑顔の写真で作られたNPO法人地域生活サポートセンター(東京)からのパネルを手渡した。

 柏木市長は「有終の美を飾らせてもらったような気持ち。福祉施策は信頼関係がないと前に進まず、今日までの発展は皆さんのおかげ。こちらこそ心から感謝します」。永田副センター長からの礼状披露の後、日高博愛園の湯川光永さんが「条例制定は柏木市長の尽力のおかげ。これからも認知症当事者の声を反映し、本人が参加するまちづくりへ、事業所間で連携して頑張ります」と述べ、北山さんも「市長さんのおかげで条例づくりにもかかわらせてもらい、それが全国に発信できるものになってうれしいです」と話していた。

写真=柏木市長を囲んで山際さん㊨、林さん㊧、北山さん(後列右)ら