新型コロナウイルスの感染予防に役立ててもらおうと、ボタンやアクリル製造の㈱カナセ(田辺市、金谷清道社長)が県にアクリル板230枚を寄贈。13日には金谷社長が田辺市の西牟婁振興局を訪ね、新谷幹雄局長に目録とアクリル板を手渡した。県内の介護や障害者施設80カ所に提供され、日高地方では御坊市の老人保健施設リバティ博愛と美浜町の和歌山病院に贈られる。

 カナセは1919年創業、100周年を迎えた老舗で、洋服のボタンやアクリルシート製造を手がけている。事業の中心のアクリル製造は、ディスプレー、看板、照明、水槽など幅広い用途で活用されており、新型コロナウイルスの感染拡大でさらに需要が高まり、4月からフル稼働で生産している。金谷社長は役所や事業所で飛沫感染防止のためビニールなどで応急対策しているのを目にし、「少しでも役に立ちたい」と県を通じて福祉施設へ贈ることにした。本社のある田辺市、工場がある上富田町にもすでに約40枚ずつ寄贈している。

 県では県内の施設から希望を募り、応募があった和歌山市から新宮市までの80施設すべてに1施設3枚以内で提供する。アクリル板は縦92㌢、横185㌢の大きさで、カウンターや食事テーブルなどで飛沫感染を防ぐために加工して使用される。

 金谷社長はアクリル板を加工したテーブル用の仕切り板と目録を新谷局長に手渡し、「普段からお世話になっている皆さんのためになればと寄贈させていただきました。飛沫感染防止への需要が高まっているので活用してもらえればうれしい」と話した。新谷局長は「県内では感染症対策で困っている事業所が多く、アクリル板の寄贈は本当にありがたい。県内各振興局を代表して受け取らせていただきます」と感謝した。

 この日、振興局に受け取りに来た田辺市社会福祉協議会在宅福祉課の古本和也課長は、「当社協では5事業所のうち4事業所に11枚いただきました。アクリルは耐久性があって非常に助かります。加工してカウンターなどに設置したい」と喜んでいた。

写真=アクリル製品を手に金谷社長㊨と新谷局長