外出を控え、家で過ごすのは当初こそ苦痛に感じたが、これだけ長く続くとだんだん慣れてきた、そんな人も多いのではないか。それが人間の順応力なのであろう。2カ月以上続いている臨時休校で子どもたちはどうだろう。このまま登校しないことに慣れてしまうのは当然よくない。出席番号順など段階的に登校日を設けている学校も多い中、そろそろ部活やスポーツクラブの段階的再開なども検討するタイミングに来ているのではないか。

 長期休業で全国的に浮上しているのが「9月入学・始業」である。人によって賛否は分かれるし、実現にはさまざまな課題もある。慎重な議論が必要だが、筆者個人としては賛成だ。世界の国を見ても4月新学期は少数派で、アメリカやヨーロッパの多くの国では9月。国際標準に合わせることは、海外から優秀な人材の留学や企業採用などメリットも大きいといわれている。いまは違和感があっても、始まってしまえば9月新学期がすぐに当たり前になる。いまの中高生が将来親になった時、自分の子どもに「昔は4月が新学期だったなんて、変なの」といわれるのが目に浮かぶ。

 前例のない、未知なるものとの戦いのさ中、仕方ないといえばその通りだが、インターハイや中体連、小学生の全国大会の中止、特に最後の年となる小学6年、中学3年、高校3年生はあまりに気の毒。9月スタートによって少しでも可能性が広がるなら、という思いは強くある。教育内容の在り方についても議論が必要だろう。アメリカのようにグループワークを積極的に取り入れた授業など、中身も外国のいい所を取り入れる議論を進めてほしい。授業の変革も子どもたちはすぐに順応するだろう。(片)