国が創設した「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金~脱コロナに向けた協生支援金~」は、全国で総額1兆円の予算が計上されており、各地方公共団体が交付金申請に向けて実施計画を策定している。日高地方では御坊市が約1億1000万円、6町がそれぞれ6000万~9000万円の幅で交付限度額が決定。経済対策や教育支援など、それぞれ独自色も出しながら満額使いきれるよう、知恵を絞っている。

 新型コロナ対応地方創生臨時交付金は4月30日に成立した2020年度補正予算の緊急経済対策の一つとして創設。ゴールデンウイーク直前の1日に詳細内容や実施事業の事例集が示されたばかりで、申請締め切りが今月29日となっており、各自治体とも大慌てで実施計画を練っている。これまでの地方創生交付金と同様に、自治体が申請しなければもらえない交付金となっており、各自治体の積極性、知恵や工夫が試される。

 内閣府地方創生推進室が示す事例集によると、交付金の使途はコロナに関係する医療提供体制の整備、3密防止、地域経済の維持、住民生活の維持など。具体的には▽休業時スキルアップ応援事業▽外食産業テイクアウト業支援▽鳥獣害対策及びジビエ利用確保▽遠隔手話サービス支援▽オンライン学習の環境整備――などソフト、ハード両面で109の事例が示されており、これ以外でもコロナ対策で利用できる。

 交付限度額は人口、財政力、新型コロナウイルス感染状況、国庫補助事業の地方負担額などに基づき算定。日高地方では御坊市が1億1545万4000円。使途は15日までに各課で検討の上、事業案を集約。いまのところ、マスクや消毒液の購入案が出ている。担当の企画課は「影響を受けている事業者に効率的、効果的に使いたい」と話している。

 美浜町は7126万9000円で、12日午後、議会全員協議会で実施計画の内容を説明。日高町は7225万8000円で、15日の課長会で実施計画を話し合う。由良町は6009万2000円で、使途は今後検討。印南町は7342万3000円で、経済、教育支援などバランスよく活用。今週末か来週早々にも計画をまとめる。

 日高川町は8606万1000円で、11日に課長会を開き情報共有。今週末にも取りまとめる。臨時交付金は今年4月1日から実施した事業にもさかのぼって適用が可能で、同町ではすでに独自のコロナ対策で行ったプレミアム商品券事業などの申請も検討していく。みなべ町は9388万3000円で、主に経済対策での活用を検討している。

写真=オンライン学習の環境整備にも活用可能(内閣府事例集より)