美浜町の陸上自衛隊和歌山駐屯地(第304水際障害中隊)に昨年9月、新人女性隊員が初めて配属された。京都府出身の谷口曜(ひかり)一等陸士(21)と、広島県出身の竹井恩材(おとえ)一等陸士(21)。ともに日本の平和と独立、国民の安全を守るため、事に臨んでは危険を顧みない自衛官としての決意を胸に、日々、男性隊員にまじって厳しい訓練に頑張っている。

 和歌山駐屯地にはこれまで女性専用の寮がなく、寮生活となる新人隊員の受け入れは男性に限られていたが、昨年3月までに待望の女性寮が完成。谷口さんと竹井さんが新人女性隊員第1号として4月に入隊し、半年間の前・後期教育を終えて9月に配属され、7カ月が過ぎた。

 谷口さんは、小学生のときはバレーボール、中学から専門学校まではソフトボール部で活躍。中学2年のときに「人を助けられる仕事に就きたい」と、自衛官を志した。「訓練では男の人の力にかなわなず悔しいこともありますが、毎日が充実しています」。施設科である同中隊配属後は測量も学び、「自衛官になってプラス思考に考え方が変わった」と自身の成長を感じている。

 竹井さんは「広島で育ち、子どものころから平和教育で戦争や原爆を身近に感じ、有事のときに家族や国民を守れるのは自衛隊」と考え入隊。「もともと運動が得意ではなく、訓練では(男性隊員との)体力の差を感じますが、少しずつできることが増えてきて楽しい」。自衛隊に欠かせないラッパ手(点呼や行進の号令となるラッパの吹き手)の教育も受け、先日、同中隊が所属する第4施設団団長が視察に訪れた際の出迎えや栄誉礼で演奏し、大役を果たした。

 2人はまだ災害派遣の経験はないが、同駐屯地では「被災地で、女性の被災者らに寄り添った対応など、女性隊員にしかできない活動は多い」と期待されている。

 谷口さんは「仕事も体力面でも、今後入隊する女性自衛官の見本となれる強い自衛官を目指します」、竹井さんは「覚えることが多いですが、しっかり学び、任せてもらえる人間になります」と目を輝かせていた。

写真=和歌山駐屯地初の新人女性隊員の谷口さん(左から2人目)と竹井さん㊧