同じ元議員の新人2人が激しく競り合った由良町長選を僅差で制し、初当選を決めた山名実氏(63)=吹井=は投開票から一夜明けた27日朝、本紙の取材に応じた。選挙管理委員会から付与された当選証書に、「重責を担う覚悟を新たにした」と気を引き締め、素早い対策と対応が求められる新型コロナウイルスについては「町の産業も大きな被害を受けている。まずはそこから取り組んでいきたい」と述べた。初登庁は5月19日。

 26日は当選が決まったあと、午前0時に帰宅し、スマホのSNSを通じて届いた多くの祝福メールに2時間かけて返信。3時ごろにようやく床に就いたが、いつもと同じ6時には起きて、日課の犬の散歩に出かけた。自宅には朝からお祝いの来客が絶えず、二人三脚で選挙を戦った妻幸子さん(61)とともに激戦の疲れも見せず笑顔で対応した。

 今回は新人3人が立候補したが、実質的には同じ元町議会議員の馬場博文氏(56)との一騎打ち。1902票対1691票という僅差の結果には、「選挙期間中は公約を伝えることに精いっぱいで、票の手ごたえは分からなかった。馬場さんも町をよくしていきたいという気持ちは同じ。彼に負けないように頑張りたい」と語った。

 公約には「若人が集う住みやすい町づくり」など挙げた。新町長の第一の仕事としては「コロナウイルスで大きな打撃を受けた町の観光産業をいかに立て直すか。まずはそこから取り組みたい」とし、さらに「選挙運動を通じていろんな方からお話を聞き、農家の鳥獣害対策や子育て支援など取り組むべき課題の多さをひしひしと肌で感じた。ふるさと納税を積極的にPRし、財源の確保などにつなげたい」という。

 行財政運営については「住民との対話を重視し、いま何を求められ、何をしなければならないのかを常に考えながら進めていく。職員と知恵を絞り、議会と一緒になってまちづくりを進めていきたい」とし、町民には「私を信じて一票を投じてくれた。全力でご奉公していきます」と力を込めた。

 今年で結婚38年目となる幸子さんも、「これまで以上に夫の体調管理をしっかり支えます」と笑顔をみせた。

写真=妻の幸子さんと選挙戦を振り返りながら決意を新たにする山名氏