新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日高地方の飲食店でもテイクアウトが広がりをみせている。外出自粛で売り上げが減少する中、生き残りをかけた対策。店内での飲食を休業し、テイクアウトだけに切り替える店もみられる。店主らは「厳しい状況だが、休業してしまえば収入がなくなり、生活ができない」と、いつ終息するのか分からないコロナウイルスに不安を募らせている。

 政府は7日、緊急事態宣言を発令したが、経済的にも大きな影響を与えている。飲食店は客が激減。休業に追いやられる店もみられ、テイクアウトで活路を見出そうとする店も多い。

 日高町荊木、カフェ「CONPEITO」では今月初めからテイクアウトを始めた。店主の射場豪太さん(41)によると、タレントの志村けんさんの死去や緊急事態宣言が発令された頃から売り上げが急激に落ち込んだという。

 感染予防対策として、テイクアウトを取り入れ、ランチやスイーツなどほぼ全メニューを対象としている。電話や来店で注文を受けたあと、紙やプラスチックの容器に入れて提供。注文品の調理が完了すると、スタッフが車で待機する客に届けるというシステム。「現状はまだまだテイクアウトは少ないですが、今後も様子をみながらメニューを増やしていきたい」と話している。

 御坊市名田町上野のイタリア料理「ペンション ヒラオカ」は今月6日から、レストラン営業を停止。テイクアウトのみに切り替えている。

 同店コック兼ソムリエの志賀量太さん(34)は10年前、イタリアに1年ほど修行した経験があり、今回もニュースや友人とのやりとりを通じ、イタリアでの新型コロナウイルスの影響や対策状況を注視。心配が続く中、日本国内でも集団感染の発生や緊急事態宣言で深刻度が高まり、感染拡大防止に向けた注意喚起の思いを込めて店内での飲食休業を決断した。

 テイクアウトの料理受け渡し時は、徹底した予防対策に加え、客同士が接触しないよう、順番に待ってもらって応対。志賀さんは「お客さまは県内外、老若男女問わず来ていただいていますが、感染拡大のリスクを考慮してレストラン営業を停止させていただきました」と話し、「売り上げは10分の1ぐらいになりそうですが、お年寄りが多い御坊日高のことを考えると、感染の拡大、爆発がとても怖い。皆さんも危機感を持ってほしい」と訴えている。

写真=注文を受けたメニューを車で待つ客にお届け(日高町のCONPEITO)