新型コロナウイルスの感染が拡大している。7日の時点で新たに362人の感染が発表され、クルーズ船なども含めると5000人を超えた。和歌山でも一時封じ込みに成功したかと思われたが、再び外部から持ち込まれ、6日には一日当たりでは最高となる5人の感染が発表された。今後も当分は増加していくことが予想され、田辺市でも感染が出ていることから、御坊保健所管内で感染者が出てくるのも時間の問題かもしれない。

 コロナに関しての発表では感染ルートなども詳しく公表される。医療関係者など業務上致し方ない状況で感染したと思われる人もいれば、パーティやクラブなど自身の娯楽の中で感染したとみられる人も。これだけ自粛ムードが続いている中で、そういう感染リスクが高いところへ仕事でもないのに行く必要があったのだろうかと思う。

 防災の取材でよく「正常性バイアス」という言葉を耳にする。「正常性バイアス」とは、人が異常事態に直面した時に、「大したことではない」と自分の都合の悪い情報や状況を無視したり、過小評価したりする偏見、心の働きのこと。要するに根拠もないのに「自分は大丈夫」と思い込んでしまうことだ。いつ発生するかわからない大地震に対してよく使われるが、国内で感染者が増加し、さまざまな買い占めが行われる異常事態の今でも、そういう状態になる人は少なくないのだろう。

 自身が感染すれば、家族や同僚など身近な人にうつるリスクがあるだけでなく、さらに拡大し、重症者や最悪死者も出る可能性がある。「自分は大丈夫だろう」という考えは払拭し、少しでも感染リスクの高いところへは近づかないよう、一人ひとりが心がけよう。(城)