みなべ町の県果樹試験場うめ研究所は、新しい梅の品種「星秀(せいしゅう)」を開発した。研究を始めて20年、多くの研究員が引き継いでようやく登録された苦心の作。皮が薄くて実が柔らかい南高梅の長所を受け継ぎながら、病気の一つ「黒星病」に強く、さらに自家受粉できるのが大きな特長。今後はさらに改良を続け、南高のような高品質な梅に育てていくとしている。
うめ研究所開発の新品種は、10数年前の「NK14」を始め、「橙高」「星高」に次いで4品種目。
南高と、病気に強く自家受粉する品種「剣先」(福井県)を交配させ、1万本以上の中から両方のいいところを受け継いだ優秀な品種を選抜して育成。全国各地の試験場で実際に栽培する実証実験を行い、高い評価を受けて登録となった。
主要な病気の一つ「黒星病」は農薬散布なしでは防除が困難な病害だが、星秀の発病率は南高よりも各段に少なく、減農薬栽培の有望品種との位置づけができる。南高とは違って自家受粉もでき、低温などでミツバチによる受粉がうまくいかない年でも安定した着果が可能。加えて開花時期が南高とほぼ同じなため、南高の受粉樹としても効果を発揮する。青梅収穫盛期は南高とほぼ同時期で、完熟落下盛期は南高より早いため、短期集中型で労働力の省力化にもつながる。果実は南高よりも小さいが、種が小さいためその分、肉厚になるという。
当面は、南高梅の交配樹として栽培、活用してもらうことが主流となるが、大きな可能性を秘めた品種だけに、今後も星秀を母体にさらに研究を続け、最高品種でブランドが確立されている南高と肩を並べる品種に育てていきたいという。
星秀の研究に5年間携わっている同研究所の沼口孝司研究員は「何万本のうちからいい品質の品種ができるのは、宝くじのようなもので、20年かけてようやく登録できたことは感慨深い。当面は受粉樹として試してもらって、現場で品質や育てやすさを確かめてもらいたい」とし、「今後はDNA技術などを駆使してさらに改良を加え、南高の品質に近づけていくのが目標。生産量の安定や自家受粉、病気に強い特性は南高の弱点を補えるものなので、高品質を追求し、いつかブランドの『南高』の冠を付けられる樹に育て、農家の生産や収益アップにつなげたい」と意気込んでいる。
写真=南高のいいところを受け継ぎ新しく開発された「星秀」


