先月25日に日高川町防災センターで開催された地域講演会「考える、土砂災害~命を守るための知識と行動~」で、専門家の木下篤彦さんから「日高川町は後世に災害の被害を伝えようとする意欲がすごい」との話があった。木下さんは水害の被害や浸水域を示す石碑があちこちに設置されていることを指摘し、各地の石碑などの写真を現地調査の報告と合わせて紹介した。
今月2日には同じく防災センターで防災イベント「まなぼう災」が行われ、2011年9月の紀伊半島大水害で夫を亡くし、自らも激流にのまれるなど九死に一生の体験をした那智勝浦町の防災士・久保榮子さん(77)が自作の紙芝居を披露。自らの体験を生々しく伝え、来場者に水害の恐ろしさ、早期避難の重要性、命の大切さを訴えた。印象に残ったのは「体験がなかった」「避難指示の意味が分からなかった」との言葉。あらためて学びの大切さを痛感した。
紀伊半島大水害では日高川町も甚大な被害に見舞われた。写真を見ると、ここまで日高川の水位が上がり、すさまじい氾濫が発生するものかと、しばらく信じられない。だが、写真の通りの光景は実際にあったのだ。決して忘れてはならない。
石碑はここまで来れば大丈夫ではなく、これ以上へ逃げろというしるべ。位置を調べることで他人の体験を共有できるので、場所を知っておくと心強い。防災情報に関するさまざまな言葉にしても、少しネットを使って勉強すれば理解は可能。日高川町の先人も那智勝浦町の女性も、二度と被害を出してはならないとの強い思いで行動に移しており、後世の人たちにはせっかくの伝承を今後に生かしてほしいと思う。(賀)


