2020年東京五輪の聖火リレーで、県の実行委員会は17日、県内を走るランナー約180人のうち、45人を発表した。内訳は公募38人と「PRランナー」7人。日高地方からは公募で、御坊市の薗会館館長木村波優美さん(65)=同市薗=、日高川町のパソコンサポート業近藤雄一さん(34)=同町寒川=の2人が選ばれた。

聖火リレーは来年3月26日に福島県をスタートし、7月24日の開会式までに47都道府県を巡る。和歌山は全国8番目。三重から受け取り、4月10、11日に県内14市町を通過後、奈良にリレーする。日高地方では10日に御坊市の薗地区津波避難タワー三差路から紀央館高校まで約2・2㌔で行われる。
県実行委は1660人の応募者から38人を選出した。県のPRランナー7人と合わせ、男性26人、女性19人。最年少は12歳、最年長は94歳となった。他はスポンサー各社から選ばれる。ランナーは一人当たり約200㍍を約2分で走る。誰がどの市町を走るかは来年2月以降に決まる。

木村さんは薗生まれの薗育ちで、08年から薗会館に勤め、13年から館長。長年、市の民生委員や茶道教室講師も務めており、地域を盛り上げたいと応募した。前回の東京五輪はあまり印象に残っていないが、最近はテレビでスポーツ観戦を楽しむことも多い。マラソンや水泳、高校時代の部活動で打ち込んでいたバドミントンが好き。とくに高橋尚子選手が金メダルを獲得した00年シドニー五輪女子マラソンの感動は忘れられないという。

聖火ランナー決定には「夢のようです。まだ実感は湧かないけど、本番では泣いてしまうかも」と感無量の様子。「薗自治連合会の酒本(和彦)理事長も喜んでくれ、地元の誇りだと激励してくれました。高齢化が進む地域を勇気づけられるよう笑顔で走りたい。薗地区がスタートの御坊市で第1走者を務めたい」と話している。

滋賀県出身の近藤さんは2015年1月、「地域活性化に取り組みたい」と日高川町地域おこし協力隊として町内へ移住。17年12月の任期満了後は自身が担当していた寒川地区で、IT企業「楽天」での勤務経験を生かしたパソコンサポート業を営んでいる。とくにオリンピックに縁や思い入れがあるわけではないが、20代のころに東京マラソンを完走。移住後もジョギングや市民マラソン大会への参加などを楽しんでおり、「みんなが一つになれる大きなスポーツイベントに関わりたい」と応募した。寒川地区へ来て丸5年ほど。すっかり新天地にもなじみ、「地域の人たちが温かく迎えてくれたので地域の一住民になれた。そのことに感謝の気持ちを持って走りたい」と聖火リレーへ抱負。さらに「中山間地と子どもたちの明るい未来を願いたい」と張り切っている。

写真=「夢のようです」と木村さん㊤と、選出に笑顔の近藤さん